ともかく漫画が好き(ともかくまんががすき)

*好き嫌いは無いです*

なんでも読みます
どんなにとんがったジャンルだろうが、大衆向けなオキラクゴクラクな漫画だろうが
人様が「イイ」というものには、どこかかしらいい部分があるものです
一定の水準を満たしているか、作者の魂が見えるものなら大概のものは楽しめます
自分が男性なものなので、少女漫画にはうといですが…

といいつつ
「これぞ!」と心に響くものしか買わないので
読んでる量にしては、自宅の漫画の蔵書はかなり少ないです
…蔵書が少ないのにはもう1つ理由が…

会社の休憩室。
ここはでかい本棚が3つほど置いてあるのですが
ここには同僚の持ち寄った漫画、小説がぎっしり詰め込まれています
この蔵書は、すべてが
「他人を洗脳する」ために持ち寄ったマイベストばかり
うっかり
「これ、ちょっと良くわかんないな」とか言おうものなら
もれなく持ち主からのプレゼンがついてきます(笑)

私はここで劇画を叩き込まれました(笑)
白土三平は序の序として、池上遼一やら川崎のぼるやら小島剛夕やら平田弘史やら…
あと、さいとうたかをプロのゴルゴ13(笑)。全部読んでる人って少ないんじゃないかな
かなり面白いですよ。ネタでしか理解してない人は、漫画図書館へゴーです
なんていうか、単行本のサブタイトルが秀逸すぎです
うちの漫画コンテンツで「ふとし」ってのがありますが
そこの新キャラで「絶望的にブスなビジュアル系アイドル歌手」を予定しているのですが
彼女のリリースする全ての曲のタイトルは、ここから持ってくる予定です

おきまりの、好きな漫画については、以下の通り
(ここは、どんどん追加されていきます)


エリア88
(新谷かおる)

主に戦闘機乗りを描いた、戦争大河ドラマ。
もうこれは、作者が何かに憑かれて描いたとしか思えない。
バランスよく配置された人物と、アホみたいに描き込まれた戦闘機、
世界を軍事と経済と愛の視点で語ろうとする作者の気負いも良し。
でもってココが大事。大風呂敷広げてちゃんと閉じてる。
現実を突破できるところに物語の価値はあります。
ですがここまで突破していて、SFと言っていいまでやっちゃっているのに
するする違和感無く読まされてしまっているのは大変な技量です。
友情&ラブストーリーという骨組みがしっかりしているからでもあるでしょう

ウィングマン
(桂正和)
桂作品の最高峰じゃないですかね。
これを「子供っぽい」というのは簡単ですが
子供と、そして「大人の中に隠れている子供の心」を
ここまで燃え立たせることのなんと難解で尊いことか!(笑)
作者のエロサービスもあざとすぎず(後半はちょっとすごかったけど)
作者の魂のこもったエンターティメント作品。油の乗った王道作品。

電影少女
(桂正和)
こちらも桂作品。
「ウィングマン」の終盤で習得した、シリアスなストーリーに耐えつつも
「桂正和の絵」を保つ、という技術が遺憾なく発揮されている。
最初はちょっと不安だったけど、1巻読み終える頃にははまってました。
その後の桂作品は…。なんだかなぁ。悪くは無いけど。
少なくとも桂正和が読ませたい対象に、私は入っていない。
いや、今までは「みんなを楽しませたい!」だった作家が
「わかってくれる人が感じてくれればいい」という風になっちゃったのかな。
絵の上手い漫画家って、みんなそうなってく気がする =q
知ってる?遊人って、昔は味のある劇画タッチで人情話描いてたんだよ。

覚悟のススメ
(山口 貴由 )
山口 貴由 の漫画は、とにかく熱い。暴力的に熱い。
基本的にロックだと思います。
それを「軍人(というか武神)」というキーワードで変調させたのが本作品かと。
これの前の作品、「サイバー桃太郎」ではアクの強い暴力ギャグが
やもするとしつこかったのですが、本作品ではそれがいい感じに抑えられている。
でも熱い。良くも悪くも暑苦しい(笑)。タランティーノばりに腕やら首やらが
ばっしばっし飛ぶ。体液でまくる。ありえない量の内臓が腹から出る
(というか、山口的には、人間の内臓は全て腸のようだ…)。
だけど、それを描きたくってまで言いたいことがある、描きたいことがある。
という心意気を読む漫画だと思いました。

男旗
(石山東吉)

これまで、応援団漫画はたくさんあったけれど、どれもこれもただのヤンキー漫画。
「ちあ!」や「多古西応援団」などなど、内容はともかく応援団好きとしては
どうも「応援団」を冠するには値しないものが多いのです。
根性、友情、ケンカ、大いに結構。でも
観客の声援を2倍3倍にする魔法使い集団として、つまり「応援の魅力」について
描かれた応援団漫画は少なかったのでした。
むしろ、昔の漫画の、どおくまんプロ「嗚呼!花の応援団」などの方が、
まだまともに取り組んでいたと思います。
この漫画のすばらしいところは、ハッタリをバレない程度におりまぜ、応援団を
いい感じに「超カリスマ軍団」に仕立て上げることに成功していることです。
そこからさらに幹部、団長、という風にカリスマの中のカリスマを上手に描き、
それに憧れる主人公、羽竜匠に読み手が感情移入するようにしているところも
ウマイです。
そして、メインである応援の駆け引きも、微に入り細に入りガチンコに描いている。
まぁ、絵が嫌い、でハネてる人も多いと思いますが、車田正美のアシスタントやってた
だけに、美形を描くときには車田絵になるので要チェック(笑)。

ぼくの地球を守って
(日渡早紀)
いきなり毛色が変わりますが(笑)。
最初は敬遠していました。
「ムーのおたよりコーナー」雰囲気全開で、電波な人たちが自分のコミューン内で
ウフウフ言ってるようなイメージがあったからです。
最後まで読んで好きになりました。
男でも読める少女漫画です。少女漫画の入門編といっても良い位。
すごく丁寧にお話が作ってあり、何度もページを戻って読み返させられることも(笑)。
時空を越えたラブストーリー、という入れ物と、描かれる絵のきれいな見た目で
騙されますが、内容は実にドロドロした人間関係発覚と、その克服のドラマだと
私は解釈しています。

陰陽師
(夢枕漠 原作本)
(岡野 玲子 漫画)

元々小説の方でファンだったので、漫画のほうはそのつながりで読みましたが
中身は原作に忠実である上に、しかしながら別作品として楽しめるくらい良いです。
小説を読みながら自分で想像していた奴が
「そうそう、まさにこんな感じ」というくらいうまく汲み取って描かれてある気がするのに、
実はその一つ一つが自分の想像力の上をいっているのがすごい。
独特の間というか流れというか、読むたびにマッタリします。
小説を先に読んだのですが、この漫画を読んでから小説を読み直すと、
あきらかに行を送る目の動きが変わってます。
岡野玲子のテンポで小説を読んじゃうんですよね。
なんとも不思議なことです。
原作の最良の理解者が、師匠越えするかの勢いで描き上げている秀作。

日いづる処の天子
(山岸涼子)
一気に読んでしまった作品。
最後は描き逃げされたような感も無きにしも非ず。
聖徳太子のミステリアスな描写を最後まで大事に維持した傑作。
ホモ心理の描写はまったく楽しめませんでしたが、太子の凄みとは対照的な
あやうい脆さの表現としてはとても秀逸だったと思います。
何度も読みたくなる、不思議な魅力な漫画。

機動警察パトレイバー
(ゆうきまさみ)
「あ〜る」が、笑えることは笑えてもイマイチ乗り切れなかったのですが
これはとても気に入りました。
この漫画って、レイバーに代表される近未来フィーチャーもさることながら
「大人賛歌」してる部分も好きです。
他の熱血漫画みたいに悪の総本山に乗り込んだりはしない。
警察なもんだから、事件が起きてからの後手後手の後手。
万事が社会の尻拭いな毎日…なんだけど、そういうことの積み重ねが大事ナンデスヨ
と全巻読み終えた後にのっしりと伝わってくる。
悪役の内海は、実に魅力的な悪役で、とんでもない悪事をスーダラ調でくりだす
クセモノなんですが、こいつが警察の地道〜な努力で少しずつ追い詰められて
いく感じなどは、とても上手です。なのに読み手には地味な読後感が一切無い。
ほんとにうまい作家さんだと見直した作品。

(手塚治虫) この人の作品には好きなものがありすぎて、どうしようもないです。
「火の鳥」「ブラックジャック」「どろろ」「アドルフに告ぐ」「ブッダ」「鉄腕アトム」「アトム今昔物語」…
お話作りにおいて、自分が創造主である誇りと、その責任感を身をもって示した
押しも押されもしない巨匠。
この人の漫画には無駄なハッタリも過剰な煽りもない。
読者の目先をひきつけるのに必要なものは予めしっかり用意してあって、また
日々それを補強しており、ほんとに漫画の内容だけで楽しまさせている。
大学の研究書庫で全部読破した思い出と共に、心に刻み込まれている作家。

ゴールデンラッキー
(榎本俊二)
これは、私の中では最高の不条理4コマ漫画なんですが
なかなか周りに理解者がいないという、難しい漫画です。
電波な価値観をぞんざいな絵柄で(狙ってやってるので画力はあると思う)つづり、
バカがバカをやってだれもつっこまないというスタイルで、極めて後遺症のある
「ヒザカックン」を味あわせてくれる漫画。
漫画の手法を知っていれば知っているほどこの「ヒザカックン」の威力が増すようで、
たとえば、どうみても「オチ」に使われるべきコマが1コマ目にきます。
それで「一体どうする気なんだこの作者は…」と読んでいくと、あきらかに作者は
そのせいで2コマ目3コマ目で困っており、最終的に4コマ目で
信じられない方法で逃げます。この逃げっぷりは天然で、ゆえに神業と言っても…
…でも、なかなかわかってくれる人がいないんだよなぁ(笑)。
自らの狂気を切り売りしている漫画。漫画そのものよりも、作者の精神世界と
精神状態を危ぶみながら楽しむ漫画かもです。

えの素(3巻まで)
(榎本俊二)


この人の不条理(というか、ダメパワー)とエログロパワーが炸裂した短編連載漫画。
基本的にゴールデンラッキーな世界観で、そこにレギュラーメンバーを配置。
ダメ人間のダメ思考ダメ会話を、作者お得意のテンポよいヒザカックンで楽しまさせて
くれる。大きな特徴としてはディープなエロをギャグ漫画の絵柄でやってるってところ。
途中から「オトナのシモネタギャグ漫画」に道を見出したのか
変態系のネタに固まりだした。過剰にギャグにされたSMやらスカトロやら…
もともとそういうことをしなくても笑わせる力のある作家なだけに、
今は様子見中。とはいえ、独特の言語センスは健在。
「ペニセスト!」「オナライズ!」「未曾有の快便だー!」
ほんとにこの人の頭の中身って大丈夫なのかと心配になってしまいます。

パレポリ
(古屋 兎丸)
ゴールデンラッキーに、「割と」近い感じの不条理漫画。
ほんとは両手を上げて好きな漫画じゃないんですが(笑)
キモチワルイ、あやうい、コワイ、といった電波ネタの非常にエッジな部分を
実に上手く料理している漫画。
…しかし高尚な不条理ギャグといった雰囲気が、私にはマイナス。
有名な神仏絵画やら美術絵画を、SEX騙し絵に描きかえる1コマなど
絵の上手さとこき下ろす対象の選択で、強引に高尚な感じになってたり
ぼちぼちなネタの4コマの登場人物を美術作品から持ってきて上手く描いたり…。
(バカ女のマターリ会話を、ビーナスやら古代神話女神のキャラに置き換える)
いや、面白いですよ。好きなんだけど、これを好きな人に
ゴールデンラッキー見せると、大概鼻で笑われるのがちょっと…(笑)
どっちも大差ないってば。
ゴールデンラッキーの方が、笑い所に読者が気づかなければいけない分
不条理レベルと、ツボに入ったときの破壊力は高いと思うのですがねぃ。(TT

基本的にすでに確固としたイメージとがあるものを、画力で瓦解させるという
80年代のTV的な発想が多いかも。いや、無論これはこれで評価すべき。
個人的には、どう見てもただの(ボケた)ホームレスにしか見えないが、言われてみれば
実物もそうだったかもしれないなぁ、という現代版アダムとイブが好き。
あのネタに関しては凄く秀逸。
ほーら、あんまし好きじゃないと言いつつも、こんなに書いちゃってます。
意識してるということで、やはしこれは、好きな漫画に入るでしょう。

攻殻機動隊1
(士郎正宗)
とにかく、読むのが疲れる!
コマ外に書き込まれた文章をさっぴいても、詰め込まれた情報量のなんと多いこと!
だけどそれをドンドン読み取ってアタマに放り込んでいくのが、なんとも快感。
2のCG全開な絵より、部分的に使っている1の方が好き。
読み返すたんびに、読み落としていた部分が見つかるのもにくい。
押井守の映画版とは空気が違う。どちらも大好き。

うる星やつら
(高橋留美子)
こんなに丁寧に書いてあるギャグ漫画は、なかなか見当たらない。
こんなにぶっとんでいる設定なのに少しも破綻してない。
この漫画は、一家に文庫一式、くらいの価値があると思う。
「らんま1/2」はエンターティメントとしてはこれに勝るけど、各話のクオリティの高さは
「うる星〜」のが上だと思っています。
こういう漫画の原体験があるから、日本人は大人になっても漫画を読みつづけるの
だと私はせつに思うのです。

宇宙家族
カールビンソン


ワッハマン

るくるく
(あさりよしとお)
「カールビンソン」は、あさりよしとお氏の出世作。
ほのぼのギャグ。映画評論家としての同氏の仕込みについてはOsakanaは
不勉強でついていけませんでしたが、
落研のながれを組む、余白と間の職人芸を見ることが出来ます。
ギャグの基本であるセリフの3段落ちとかも小気味よくて好きですね。
(おとうさんのゲテモノ料理を食べて)
「クラクラする…」「胸が苦しい、息が詰まる…」「手足がしびれる…」等など。
一発ネタの「塩気の無い古い羊羹」など、忘れられないネタも多いです。
この人のメカデザインのセンスは大好き。線が少ないのに機能美を感じさせる
ほんとに記号としてのSFメカとして秀逸。
この後の「ワッハマン」は、良かったけれどシリアス編に入るのが早過ぎた感が。
すっきりと目立った破綻無く終わったけれど、序盤が一番面白かった、というのが
正直なところ。
「るくるく」は、カールビンソンの流れを汲む、「へんてこ。でもあったかい」家族もの。
前のが「ブラック・サザエさん」なら、今回のは「ブラック・怪物くん」かな。
るくるくが可愛い。伏線をもりもり貼りまくってるけれど、あさりよしとおの漫画は
そういうところに不安を感じさせない。最後に絶対上手にまとめてくれるという
安心感があります。今もアフタヌーンで連載中。

まんがサイエンス
(あさりよしとお)
学研の「5年生の科学」に連載している最先端科学の情報漫画。
あさり節を随所に利かせながら、しっかり教養漫画しているところはもう脱帽。
どうも、あさり氏本人が学研にやらせてくれと持ち込んだ企画らしく、
好きでやっている作品の持つパワーと愛情にあふれています。
ロケット編では、種子島のロケット基地に取材旅行へ行かせてもらったりと、
それなりの待遇&役得もあるようす。
いい仕事をして、もらうべき物はもらう。実に気持ちのいい話ですのう。

魁!!クロマティ高校
(野中英次)
バカ大好きなOsakanaが、この漫画を見逃すはずも無く…(笑)。
池上遼一作品を読んでいるOsakanaには、この漫画の1コマ1コマが地雷原。
しかも、わざと下手に描いてるし(笑)。
バカがダメな話題で一生懸命話してるんだけど、どんどん話題のピントがボケていって
最終的に何の結論も出ず何も解決しない、という
脱力に脱力が重なっていく、空虚な笑いが湧き上がってきます。
黙り続ける前田の母、壊れ続けるメカ沢、増え続けるゴリラ、
どうもこの漫画は何かが1つの決着を見ることが無いです。
「ぜんぶやりっぱなしのダメ人間」な臭いに満ちた漫画。大好きです。

沈黙の艦隊
(かわぐちかいじ)
全巻持ってました。引越しのドサクサで古本屋に売ってしまったのを
今でも後悔しています。
原子力潜水艦の海洋ドンパチ+政治力のつばぜり合いな漫画です。
大層なセリフやアオリで読者をガンガン引っ張っていきます。
ハッタリも随所に(笑)。でもまぁ許せる範囲。
ああいう絵のうまい人がこういう漫画を描くと、これがエンターティメント漫画
であるということを忘れてしまいます。
潜水艦同士の戦闘シーンは、実に圧巻でした。
この人の、これの前の漫画「アクター」も読みましたが…この人…
ほんとに適当なことを言って読者を盛り上げるのが好きですよね(笑)。
悪く言ってるんじゃないです。サービス精神がすごく旺盛なんだと思います。
いやー。なんていうか、「沈黙の艦隊」を先に読めてよかったです。

うしおととら
(藤田和日)
なんていうか、この作品自体、
「ライフワーク」「作家個人の集大成」レベルに相当する漫画です。
これを描き終えてなお、「からくりサーカス」を描くパワーにはガクゼンです。
化け物、霊、ミュータント、といった手合いと対峙し、闘ったり助け合ったりする
エピソードを重ねて、主人公の少年の成長、ニンゲンの生きようとする有象無象の力と
尊ぶべき異界の存在などを描いていきます。
途中で色々軌道修正もしたはずなのですが、読み終えてみれば
1巻から張られた伏線がみごとに終結、全ては始めから出来上がっていたのではないか
と思えるほどの完成度。
「からくりサーカス」もそうですが、この人の漫画の凄いところは、
「あぁ!藤田和日が描いている!」と常に感じるところ。
中盤から、この漫画は読者を泣かせまくります。あまりに純粋すぎて引くところも
あるかもです。それでも私が許容して読めてしまうのは、
「これは泣かせようと思って描いたのではなく、藤田和日が泣きながら描いたのだ」と
感じるからです。でなくて、どうしてあんなに迫力のある線が引けるでしょうか。

この漫画ほど、美しく終わった長期連載ストーリー漫画を、私は知りません。

燃えよペン

吼えろペン
(島本和彦)

私は、島本和彦が昔っから好きでした。
「宇宙家族カールビンソン」が好きで、その掲載誌「キャプテン」で
「逆境ナイン」を読んで以来のシマモトファンです。
そのシマモトの兄貴が、「いいか!漫画家ってのはなぁ!」というテーマで
思いっきし漫画家稼業を誇張して描きなぐっている漫画。
しかし、大事な部分は「本人はそう誇張しているつもりは無い」と感じてしまうとこです。
ハデな事件や自分勝手な「センセイ」の熱い言動に目を奪われがちですが
「モノつくり」をする人間には魂が無くてはいけないんだ!という
終始一貫した作者の叫びをこそ「感じる」漫画だと、切に思います。
ちなみにOsakanaは、ラジオ番組「島本和彦のマンガチックにいこう!」のリスナー
でもあります。アシの女子アナがいなくなって一人での放送になってからは
毎回大変そうだなぁと心配しつつも、
「やっぱサブキャラって大事だったんだなぁ」と身をもってコンテンツ構成について教えてくれた
シマモトの兄貴に感謝してたりしてなかったり。

逆境ナイン
(島本和彦)
「井の中の蛙の中には、海で活躍できた奴だっていたはずだ!」
見開きドアップで死ぬほど熱い格言を吼える!
これぞシマモトの真骨頂マンガ。
打者1人で100点取るとか、ちょっと行き過ぎな所もありましたが、
内容のインフレで追い詰められる作者の、のた打ち回る様がそのまま作品の
緊張感につながっているのが良いです(ホントOsakanaは嫌な読者ですね =q)。
パンダラブー
(松本正彦)
ここまで駄目だと、それ自体がギャグ(笑)。
小学校の頃、クラスに一人くらいいたでしょ。こういう漫画描いてる男子が(笑)。
えぇまあ、私がそうなんですが。=q
とにかくつまらない。でも、これで当時は良かったのかもしれない、と思うことが
なぜか安らぎになる。
ページをめくるたびに「 ぇー 」という嘆息がこぼれます。
終始苦笑。それが積み重なって決壊して、最後には爆笑してしまいます。
ヘタレな漫画を描いてるOsakanaでさえ、この漫画を見ると安心します。
ギャグ漫画がまだ「作品」を気取っていなかった頃の、歴史の徒花。
なんか、ここで読めるぽいです
http://kodansha.cplaza.ne.jp/e-manga/club/manga/pandara/

ベルセルク
(三浦建太郎)

まだ終わってない漫画だし、感想書くのもどうかと思うんだけど…。
この人の漫画のすごいところは、絵とか構成よりはもっと根本的なところ。
この人は、決してファンタジーを見てファンタジーを描いていない。
空想、想像、創造を、もちろん色々外から影響は受けているでしょうが
基本的に、自分の心の中から搾り出している。 原知性というか、原ファンタジーというか。
エルフや地母神、妖精といった伝承物、集団無意識としての神・悪魔といったものへの
しっかりとした知識・考察の土台に根ざした三浦健太郎のファンタジー考証は、
借り物でない、実に骨太な味わいがあります。
私は三浦健太郎が、自分の心の中に描いた世界をおっぴろげて、「さぁ!みやがれ!」と
正々堂々と読み手と対峙しているかのように感じてしまうのですが、それも好きです。

上に乗っかっている善悪ナンタラとか愛とか宗教とか、そういう舞台装置も無論
よく出来ていますが、私がここまで入れ込んで誉めてしまうのは、それだけじゃ無い故な訳です。
ちょっと前まで長いこと書いていましたが、やはし総評は最終輪を読んでからにしようかなと修正。

夢幻紳士

その他短編集
(高橋葉介)

良質なミステリー・ファンタジー・メルヘン短編集。
ファンタジーとメルヘンの違いは、説明すると長くなるのですが、
その世界の「不思議現象」を作者が責任持って描写しているのがファンタジー。
余計なお世話は焼かずに読み手の想像力にまかせて、より夢うつつな世界を描くのがメルヘン。
「銀河鉄道999」はファンタジー、「銀河鉄道の夜」はメルヘンというのがOsakana論です。
無論、「ファンタジーっぽいメルヘン」やその逆もあり、これの区分にこだわることは
あまり意味がある事だとは、私も思っていません。 =)
 で、夢幻紳士はミステリー&ファンタジー、短編集はメルヘンに近いものが多いです。
夢幻紳士とは、鬼太郎のように闇の住人と付き合いのあるナゾ少年が主人公の、
怪奇事件解決の短編。でも鬼太郎と違って美少年です。
彼はそういった世界の知識に明るく、また特殊な能力として霊を感じることができ、人の心を
操作して夢や幻を自在に見せることができます。
この能力が「彼の超能力」という設定で決まっていること以外は、お話は極めて精緻に
作られており、最後に「あぁ、なるほど」とホロリとしつつナットクしたりしなかったり。
江戸川乱歩ぽい雰囲気の空気も独特で好きです。
短編集では「ミルクがねじを回す時」のような、少女の内面世界を奔放に描き綴った
不条理&シアワセな話が好きです。
ヘンテコな世界がある一定のキマリによって動いているがそれについては一切説明が無く、
ヘンテコな世界がヘンテコなりにそのキマリに従って落ち着くとこに落ち着くのですが、
でも、それに本当に納得できたんだかできてないんだかワカラン、という
奇妙な感じを受けてしまうのです。…それがまたいいんですねぇ。 =)
その一方で
お腹をすかせて死んだ腹話術士の少年を慰める声が、死んだ場所のあらゆる物から漏れ出る話、
伝染病で人類が死滅した地球を、墓を掘って回るひとりぼっちのロボットの話、
などなど、お話の原型として極めて優秀な悲哀メルヘンも数多く、大好きです。
数年前、この作者さんがサンデーで「学校の怪談」を連載していました。
あれはとっても嬉しかった。またやってくれないかなぁ。

ウチの場合は
(森下裕美)
毎日新聞の4コマ。
「少年アシベ」とか「ここだけのふたり!」の森下裕美マンガです。
「ここだけのふたり!」から毒を全て抜き取ったステレオタイプ家族・ホノボノ漫画です。
この人って、ものすごい漫画が上手い。
漫画描くひとは、ゼヒ勉強のために一読をオススメします。
読み手がコマの中でどのように視線を動かし、どういう順番で文字を読むか、という事において
かなり高度なことをやっています。
普通の人だったら10コマ以上かかって説明することを4コマで説明して、無理が出ないのには脱帽。
内容も、「コボちゃん」みたいなベタさが無く、我々中年前の大人でも充分楽しめます。
大手新聞社にしては、かなりのナイス大抜擢。 よくぞこの人に描かせたものです。

 にしても、毎日新聞ってホント流行に流されないゴーオンマイウエイな新聞ですよね。
大事件が起こったときに毎日新聞の1面見ると、どっかの地方の祭りの特集とか載ってて笑えます。
って、取ってないんですがね(笑)

はじめの一歩
(森川ジョージ)
私的には、生涯のナイスマンガ5本指に入るであろう傑作ボクシング漫画。
この人も、ものすごい漫画が上手いです。
読み手の視線の誘導がすんごい上手い。 とくに見開きが上手い。
この人は、見開きの絵の中に小さいコマを所々入れる、という漫画の一般的手法をよく使うのですが
これがもう芸術品。
1)まず全体を目に入れさせてインパクトを与え→
2)何が起こったのか、それがどうすごいのか、という描写のコマに目が行き→
3)当事者ボクサーの表情に視線が引き寄せられ→
4)それを見守る観客、あるいは実況の台詞に目が行って→
5)ページをめくろうとする時の視線移動中に、最後にもう一度全体が目に入ってその絵を再度楽しみ、
  この一連の視線移動で得た情報が、一瞬の出来事であったことを再認識する。
すげー。ほんとうまい。

漫画自体は、まぁ主人公の一歩を中心にしたボクシングの試合&ボクサー列伝漫画です。
この漫画の好きなところは、ヘタなハッタリをうってない所です。
まっすぐな主人公がまっすぐに強いボクサー目指して練習し戦う、という実にわかりやすい展開。
必殺ブローも数々登場しますが、その必殺ブローも、演出においては漫画漫画してますが、
その中身については、現実にプロが使ったものの延長から外れるものは無いです。
純粋にボクサー達の生き様のカッコよさと、ボクシングの試合の面白さで真っ向勝負してるのが
いいんですよね。 作者と一歩はかなりイメージかぶります。
まぁ、あの異常なうたれ強さだけはファンタジーだと思いますが... TKO出なさ過ぎ...
いやまぁ、現実を超越してこそ物語な訳ですから!これはいいかと!

時代にへつらわず、奇抜さで読み手を引っ張るわけでもなく、
純粋にエンターティナー&ストーリーテラーとして読み手を楽しませようとする。
この漫画は、世にボクシングがある限りいつまでも読める漫画だと思います。
あぁ。爺ぃになったら介護ベッドの上で読返してぇ…。

西洋骨董洋菓子店
(よしながふみ)
ネットの知り合いから紹介されてた漫画で、たまたまその後本屋で平積みになってたんで買いました。
いやいや、これまた傑作! てか、すげーですよこの漫画。
いやいやいや、漫画において「伏線」というものが、いかに大切なものなのかを教えてくれました。
すくなくとも3回登場したキャラは、物語上ちゃんと役割を持たされています。
なんていいますかねぇ、ゼルダの街の人々、といいますか。
全員がその街の中の大きなシナリオの中で、小さなエピソードをもって関係しています。
雑な言い方をすれば、「実に良くできた箱庭ストーリー」と言えますね。

 この作者さん、自分の得意・不得意が実にわかりやすい人で
お菓子と美形キャラの立ち居振舞いにおいては、向かうところ敵無しの上手さを見せるのに
この漫画内で何度か登場する格闘シーンは、正直なところ絵柄とミスマッチで実に蛇足。
もっと少女漫画格闘絵の手法(奥行きの無い構図で主人公が優雅なポーズとると相手が吹っ飛んでる)で
ささっと描いちゃえば良いのに、そしてそれ自体は汗臭さを排除できてちっとも悪いことではないのに
(車田正美が女性ファンをかなり取得できたのって、この手法を取った事が大きいと思うなぁ)
ガチンコで汗臭い少年漫画風に描こうとしてるところが、 Osakana的には超高ポイント!
ケンカ役キャラのエイジはどうしてもこういう描き方をしたかったんでしょう。
私的にも、「ボクシングが好きで好きでしょうがなかったのに病気で引退」というキャラの
ボクシング描写については、やはしガチンコで描いて欲しいと思いますし。
描きたいものを描きたい風に描かなきゃダメです!よしながふみ万歳!えらい!

えっ?ドラマ化されてDVD出てるんですか?
はれ?フジのHPであらすじ読んだら全然違う内容...うわぁ、ひでぇ、台無しだ。
この完成されたシナリオを、いじるどころか改変までしてうわうわうわ、読めば読むほどにひでぇ!
入れ物だけもらって好き勝手に作り変え、でも権利は買ってますから悪いことはしてないですよ
っていう、ドラマ化最悪シナリオの典型でわ!
フジ、ひでぇよ。ここまで作り変えるんなら名前変えろよ!
...うーん。あらすじ読む分には面白くなかったけど、見たら面白いの? ...ぅあー。怖ぇー。
amazonのレビューみると、高得点が3人いるのみ...。
うう。どうなんだ!?見たいような見たくないような…!!

カメレオン
(加瀬あつし)

いわずと知れた、軟派・硬派同居型ヤンキー漫画
基本的にOsakanaは、ヤンキー漫画についてはさほど評価は高くないのです。というのは
他のジャンルだったら無条件で「引かれてしまう」過度な熱さやお話の破綻具合が、「ヤンキー」という
便利な人種のカルチャーによってごまかされている嫌いがあるからです。
しかし、この「カメレオン」は主人公のヤザワを、究極の狂言回し&客観者として配置。
この、中学時代はいじめられっこ、体力も根性もなく、悪知恵だけがとりえのこのヤザワは
基本的には名だたる不良達を恐れつつも、嘘とハッタリと運で上手いこと成り上がっていきます。
そういうバカに丸め込まれてしまう、通常ならとんでもなく近寄りがたい「不良達」の「イイ所」を
さりっと見せ、また、このヤザワがハッタリで見せる「友情パワー」に見事にハマってガチンコで呼応し、
本当に奇跡を起こしてしまう、ゴツい不良どものカッコいいことと言ったら! =D
「そんなことあるわきゃねーよな。でもあったらいいよな…」という「イイ不良に対する妄想」を
実に上手く表現している漫画だと思います。
…なんかいい話だと勘違いされそうなので補足しておきますと
基本は「ベタでお下品なギャグ漫画」。擬音/擬態語のバカ描き文字が独特でした。
さりげに47巻まで出てます。

カイジ1&2
アカギ
無頼伝 涯
最強伝説黒沢

(福本 伸行 )

福本 伸行の漫画は、何が面白いか説明するのが大変に難しいです。
わかる人にはビビっと来ますから。
ダメ人間描写と心理戦/駆け引きを描くのを得意とする作者ですが、
「カイジ」シリーズでは超高額・変型ギャンブルで壊れていく人間模様と
その中でのサバイバルがメインで毎回毎回、どんなトンデモギャンブルが出るか、と
どんなダメ人間がそれに翻弄されていくかが楽しい。
その中でポロっとでる本音の人情話やグサっと突き刺さる大人の現実話も、実に奥が深いです。
「限定ジャンケン」「インチキ巨大パチンコ”沼”」など、名物ギャンブルも多数。

「アカギ」
は、いくつかの例外を除けば「超人達の麻雀」の風雲録です。
常人の及ばない境地で読み合い/だまし合いを繰り広げ、それらを全て突破する強運すらも武器に
超高額レートで戦い続ける雀士達の独白と葛藤は、実に緊張感があってよいです。
また、やる麻雀もタダの麻雀ではなく、
「点棒でなく、自らの血を賭ける」「牌の多くがガラスで透けて見える」等、
心理戦に大きなひねりやプレッシャーを与える「特別ルール」がまた秀逸。

「涯」では、「ダメ人間」として施設に入れられた中学生の虐待生活とその脱出劇がメインですが
その施設「人間学園」の生徒矯正方針がすごい。
「無責任で怠惰な云々〜(要は一般的な若者全部)は、人間失格だから動物である
「なので人間扱いしないことで、真の人間に生まれ変わる様に指導する」
とまあ、こんな話がよくも少年マガジンで連載されたものだと感じ入ったものです。
まぁ、すぐに打ち切られてしまいましたが…いや、本当に残念。
一応完結はしましたが、もっと長く読みたかったです。
ギャンブルも、1on1の心理戦も無い漫画でしたが、孤立した主人公の長い独白と葛藤シーンは
まぎれもなく福本節であります。

「黒沢」
は…なんと言いましょうか、もう読むたびに
「…もういい、もういい黒沢!お前はもう頑張るな…!」と、涙ぐんでしまうような
駄目人間が一生懸命に駄目思考で、前向きに、でも紆余曲折しながらやっと掴んだ
駄目な選択に翻弄され、どんどん窮地に追い込まれていく漫画です。
3巻から、ケンカ漫画っぽくなってきましたが、これからどう転がっていくことやら…。
憎めない駄目人間「黒沢」。Osakanaは、彼が気になってしょうがありません。
…つまりたぶん、この漫画は、面白いのです =q

   
  まだまだ続くー