「遊遊記」。任天堂ディスクシステム「ふぁみこんむかし話」の傑作です。
「西遊記」をベースに、古今東西の昔話やおとぎ話のエッセンスをごったまぜにしつつ、一人の少年の成長物語と、二人の小さな甘酸っぱい恋の物語をつづった超大作でした。
たくさんの昔話をごちゃまぜにした独特の世界観は、前作の「新・鬼ヶ島」よりさらに自由で、ハチャメチャな面白さがありました。 本では味わえない、読み手の選択がリアクションとして返ってくる、インタラクティブなゲームならではの感動がそこにはありました。
全方位にやさしかった甘酸っぱい大団円
でも、故郷でひとりさみしく暮らす「ちゃお」のもとに「ごくう」が戻った時には、きっとこんなシーンだったのだろうな……ということで、このイラストに。
物語の序盤から、会えそうで会えず、会えても引き離されるの繰り返しだった主人公「ごくう」とヒロイン(デフォでは「ちゃお」)。本作はそのもどかしさがストーリーに緩急と深みを与えていました。
そしてラスボスの牛魔王を倒した後でも「ごくう」は天界の役人に抜擢され、またもや二人は離れ離れになってしまいます。
前科者とはいえ、旅を通して一人前に成長し、さらには牛魔王から世界を救った「ごくう」。 救い出した「ちゃお」にずっと言いたくて言えなかった告白をしてのけた「ごくう」に、お釈迦さまそりゃ無いよと、私もプレイしながら思ったものでした。
でもその後の展開が秀逸です。 「ちゃお」が気になる「ごくう」を思いやったお釈迦さまの粋な計らいで、「ごくう」は晴れて役人をくびになって「ちゃお」の元に戻ります。
わざといたずらする様にしむけて、クビにする理由を作ったんですよね。
そんなことしなくて最初から自由にさせろよと言いたいところですが、「ごくう」の前科があまりに酷いので、世界を救った後も「保護観察」が必要だったのかな、とも。 クビになったことで「あとは好きにせい」と言うことですので、これで晴れて「禊を済ませた」ということになるんでしょうか?
ともあれその流れがなんともまあ、よくぞここまで引っ張って、こうも良く落としてくれた……と言いたくなってしまいたいくらいの絶妙な演出になっていて、思わずうるっと来てしまいます。
そもそも、エンディング~エピローグに1年挟むっていう脚本演出が、またニクいですよね~。
ゲームでの出会ったシーン自体は、プレイヤーの想像の余地を残した控えめの演出で、止め絵のサイドビューだけでした。 それで充分だったのですが……
でも…
きっと幸せいっぱいのビックリだったんでしょうねえ。
「ちゃお」かわいいよ「ちゃお」
「遊遊記」の「前編」の公式イラストではチャイナ服のズボンを穿いていたのですが、「後編」では生足になってるんです。前編のスタート時期から数年経っているので少し大人になったのでしょうか。
イラストは「後編」のエンディングのシーンなので、生足デザインにしましたが、何気に服がスリットありだったので、地味に艶かしい感じに。 却ってぱんつ描くとやらしい感じがしたのでそのままにしたのですが、どうなんでしょう。
「めでたしめでたし」ってこういうことですよね
エンディングでは、「ちゃお」と「ごくう」以外のメインキャラクター達も、それぞれ幸せに暮らしていることが語られます。
沙悟浄は、あの寒さが心地よいと、シベリアで出会った老夫婦と共に静かで豊かな暮らしを。
「前編」「後編」と長く引っ張っただけに「ちゃんとみんなしあわせになりましたから安心してね!」と言わんばかりに、収まるところに収めた大団円にしてくれてます。
「めでたしめでたし」ってこういうことだよなあ、と思います。
微妙に放置されている名作!?
さてこの「遊遊記」、何故だかこっちだけバーチャルコンソールになってないんですよね……。
「前作」の「新・鬼ヶ島」はロムカセット版も出たし、WiiU、3DS でのバーチャルコンソールになっているというのに、「遊遊記」は別プラットホームでの再販やリメイクが何もなされていません。
面倒でお金もよりかかるロムカセット化ならともかく、バーチャルコンソールなら比較的容易に対応できると思うのですが、何故だろう……。
ちなみに「スマブラ」には参戦してます。
それにしても……
本作のエンディングには、嬉しさとも切なさとも言えない、言葉にできない感動がありました。
大人になった今、改めて見ると、自分はこんなにピュアに美しく生きることはできないし、じっさいできなかったのだという胸の痛みと共に、甘酸っぱい気持ちで一杯になります。
まさに「おとぎ話のようにやさしい世界」。 色々な昔話が集まった「遊遊記」の世界を端的に言い表すのであれば、この一文に集約できるような気が。 子供時代に、リアルタイムでこんな美しい作品と出会えて本当に良かったと思います。
……以上、レトロゲーム絵日記「遊遊記」でした!
おまけ
背景。ファミコンの画面での「ちゃお」の家は丸太ん棒で作った小屋みたいな外観だったので、それに合わせて描いてます。
でもこれは、ファミコンの描画能力だからああだったのであって、ほんとはちゃんとした質素な中国家屋なんだろうなあ……。
(ほんとにおしまい)
こんばんはです!!
pixivの方の奇々怪界の絵日記でコメントさせていただいたものです。
いやー、いいですよね、遊遊記!
前作・新鬼ヶ島のシナリオがフラグ立ての試行錯誤に重点を置いた
黎明期のADVの風情色濃い作品で、シナリオの掘り下げもそこそこだったのに対して、
こちらはキャラクターやシナリオの深みが非常に増していてよかったですね。
個人的に印象深いのが、ごくうとちゃおが離れ離れになってから大団円を迎えてくっつくまでの間に、
大きな時間の隔たりが感じられるところ。
劇中でのチャオのドットは、ゲーム進行とともに微妙に変化してて大人っぽくなってくんですよ。
最初は上着にモンペという田舎娘っぽい服装だったのが、再会時にはロングのチャイナドレスになって。
きっとごくうをすくうために旅に出てから数年近く経過してたんじゃないかなって思えて、
やっと会えたと思ったらすれ違いの繰り返しになんとも切なさが増すんですよ~。
(個人的には冒頭では14歳で、再会時は18歳ってイメージ)
ファミコンミニにもなれずバーチャルコンソールでで配信される気配もないまま。
バーチャルコンソールが終了してしまったのも残念です。
どこかでまた気軽に遊べる機会が出てほしいですよね。
こんにちは!Osakanaです。コメントどうもです! 遊遊記、よかったですよね~。
私は、実は「新・鬼ヶ島」よりはこっちの「遊遊記」の方が好きなんですよ。エンタメと作品性のバランスが良くって。私もキャラの扱いが丁寧で深かったと思います。何気にお釈迦さまがいいキャラしてました(笑)。
ほんとに何故、バーチャルコンソールで出なかったのかと思いますよ。
今だとYoutubeとかで丸々プレイ動画とか出ちゃってるんで、アドベンチャー系の再販は厳しいのかなあ、とも思いますが、さくっとSwitchで遊べるようになればいいなあと思ってます。=D