【漫画制作日誌】メディバンは初期環境整えてからが本番? 自作トーンと塗りつぶしペン。【ちびせみ第一話】その3

「ちびせみ」本編の第一話。第三回目の更新です。やっとファンタジーらしくなってきました。

漫画 【ちびせみ】第1話:魔法幼女の前奏曲

2019年9月13日

パッと見で「あーあれだ」と思う人がいると思うので、まずはここから。

本作はいわゆる「ファンタジー」。 現実世界と異世界がつながっていて、お互いの住人との温度差でお話を作るジャンル。

おさかな
ちなみに私のバイブルによりますと、「世界丸ごとが作者による空想世界」な構造になっている物は「ハイ・ファンタジー」と区分されるようです。
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そのつながりの中で最もポピュラーな形式が、このトンネル型。 広い意味では初期の「ハリーポッター」もそれですね。9と3/4番線の列車に乗る事で、魔法世界に行けるわけです。

そのファンタジーの古典「ナルニア国物語」の衣装だんすのネタをお借りしたのが「ちびせみ」本編。

タンスは、別にトイレのドアでもオモチャ箱のふたでも何でも良かったんですが、「これは割とちゃんとファンタジーやる漫画にしよう」という気持ちを込めて、そのままタンスにしました。

本作では「魔法」のうち、特にレイヤーの高い魔法は、常人には何が行われたのかがわからない系を模索してます。2次元の知性が3次元を知覚できないように、魔法を使えない普通の人間には魔法を知覚できない場合が多いだろう、という視点です。

とはいえ、エフェクトや魔方陣が飛び交う魔法もこの漫画世界には存在しますし、その使い手もいずれ登場します。 ただ、ちびせみ一家はそうではないということで。

ちびせみ一家の魔法は、唐突に結果だけを引き当ててくるので雲を掴むようです。 それについて彼女達は説明をしてはくれますが、わかるようなわからないような……。 ケムに巻くような感じをこさえていきたいですね。

 

ちびせみの好物は国民的乳酸菌飲料でおなじみの「カルピク」。 はじめての味にぞっこん状態です……。

【メディバン】最初はアレだったが、準備が済めば良い感じ!

さて制作日誌、お絵かきツールパート。 今回は「メディバン」です。


 
別にクリスタを買うお金が無いわけではなかったのですが、敢えてメディバンで始めたのは、私が好きな漫画家「東村アキコ」さんの仕事場の標準ツールだと知ったからです。

東村アキコさんは、とんでもない画力でしかも超速い

有料であるクリスタに比べて圧倒的に機能が少ない無料のメディバンで、普通に高クォリティの漫画を大量生産している(スタッフさんもたくさんおられますが)。 かっこいいじゃないですか。 それにあやかりたいと思いました。 それだけです。

まずはデジタル漫画作画の便利さに感動!

そんなこんなで始めたメディバン。  今回の漫画では、スタディで「スクリーントーンを貼る」だけの用途で使いました。

「Flashの主線の模索」と「Procreate の背景描き込み」の2つのスタディを別途進めていたので、あとはトーン貼りしか残ってなかったんですね。 そのトーン貼りの機能は、Flash にも Procreate にも無いものでしたし。

触ってみてまず感動したのは、デジタル漫画ツールゆえの、選択範囲のとりやすさ!

レイヤーをまたいで「線に囲まれた内側」を範囲選択できるのが最高です。 漫画描いてると、顔と身体は別レイヤーだったりするじゃないですか。 それで選択範囲を取ろうとすると、いったんレイヤーを合体させて……という手間が生じてたんですが、もうそれを気にする必要はありません。

選択できたら、別に作っておいたトーン用のレイヤーに、ベターっとトーンを「塗りつぶし」の要領で貼れてしまいます。

デジタル漫画ツール最高!

おさかな
これぐらいはメディバンでなく、他のツールでも当たり前の機能ですけどね(笑)。


小さい所でチョイチョイつまづくも、自分好みに初期環境づくり

しばらくは、その便利さに打ち震えつつ作業を進めていたのですが、次第に「あれ?」と思う所も出てきました。

おさかな
●DL含めても、スクリーントーンの種類少なくね?  万線のトーンが無い!?
●ユーザーがアップしている素材が少なすぎ? 誰も使ってないの?
●「囲んだ範囲を塗りつぶすブラシ」がデフォルトでは無いのか……。

漫画ツールにしては、なんかこう、「普通これくらいあるよね」がチョイチョイ無い印象。

もちろん無料のツールなので、不満ではありません。 「何でここまでのクォリティのソフトで、これが無い/足りないんだろう?」っていう「不思議さ」が正直なところ。

メディバンは公式ページで大量の素材(ブラシやスクリーントーン)を置いてくれてはいます。 これはすごく嬉しいし好感を持ってます。 でも、やっぱり会社ひとつが頑張っても限界があるわけです。

私のニーズとしては、私が手を抜くための「服用の柄物トーン」の数が全然足らないです。 また、「万線(横線)」トーンが一枚も無いというのにもとまどいました。

で、ユーザーが作ったトーン素材がネットで配布されてないかと探すも、これがあまり見つからない。 ヒットするのはクリスタ素材ばかり。 ていうかクリスタ素材のユーザーアップ、めっちゃ多い(笑)!!!

おさかな
この辺のユーザーの裾野の広さもまた、ツールの実力の一つですよねえ。

無ければ作る。作るのは割と簡単。

無いトーンは作ろうということで。

Photoshop で、ループ素材を作る要領で万線のパターン素材をまず作りました。 そしてクリスタ用にアップされているトーン素材でも、pngなどの画像データで配布されている物がけっこうあるのに気付き、それらをありがたくいただきました。

自作のトーンやパターンをあまり大きいサイズにすると、ローカルのPCでは使えているのに、クラウドに素材をアップロードするタイミングでエラーが出ます。これにはほんとに悩まされました。

なぜって、それだとクラウド経由で素材を共有する iPad pro 版のメディバンで作業しようとしても、そのトーンを使えないわけですから。

トーン素材は公式配布のピクセルサイズ以下になるようにしておけば大丈夫そう。パターンについては 400x400ピクセル以下というのを、公式のどこかのページで見て、実際その通りでした。

そして!

塗りつぶしブラシは、こちらはユーザーの方が作った「まさにそれ!」なブラシが配布されていたので、こちらも両手を差し上げつついただきました。 もうこれが無いと作業無理ですね。

こちらの Kasari さんの作られた「塗りつぶしペン(fill.bs)」がほんと素晴らしいです。ありがとうございます。「KakeamiSet(カケアミセット)」も愛用しています!

このブラシで、スクリーントーンを貼る選択範囲を作っていくのが本当にラクチンです。 消しゴムにこのブラシを使えば狭い範囲から広範囲に対応できる良い消しゴムになります。

……と、そんな感じで

使えそうなスクリーントーンとパターンをそろえて、塗りつぶしブラシを装備したメディバンは、快適の一言です。

そしてもちろん、Switch の左手デバイスにも設定対応させました! まだ機能アサインには改良の余地がありそうですけども。=D

そんなこんなで、メディバン初体験での漫画制作。 スクリーントーンに限った運用ではありましたが、基本動作は期待以上無料とは思えない便利さで感動です。

ページ管理
メディバンの短所と言われた「ページ管理」ですが、複数のワーキングファイルを「プロジェクト」として扱う事で一応できます。一気にまとめての書き出しにも対応しているので、最低限の機能はついてるかと。=D

今回は色々なツールで描いたので、まだメディバン1つで漫画をまるまる描けるかどうかは分りませんが、かなり便利なツールであることは確か。 第2話以降から、もう少しメディバンの比率を増やして、作業効率を上げていこうと思います。 =D
 

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