【レトロゲーム絵日記 018】デッドゾーン:ディスクシステム名作。最低限の情報で最大効果をあげた名演出シナリオゲーム。

まさかで笑い、まさかに泣かされた名作

「何故俺は、ここにいるんだ…?」

当事、超斬新だった「音声演出」でスタートする、テキストアドベンチャーゲームの「デッドゾーン」。BGMも無く、文字もカタカナだけという、極めてシンプルなこのゲームは、マイナーながらも地味にお話が良く、知る人ぞ知る名作とされています。

今で言う「脱出ゲー」ですね。全部で9フロアある宇宙コロニーを、相棒のポンコツロボット「キャリー」と一緒に踏破して恋人を救い出すことが、ストーリーの大骨になっています。

これがもうですね、途中で意味不明なナンセンスミニゲーム(しかも覚えゲーで激ムズ)が入って笑わせてくれたかと思えば、ラストはまさかのお涙エンドと、当事としてはものすごく尖ったつくりのゲームだったと思います。
 

イラストはやっぱりここ。2体の儚さ過ぎるロボット

やっぱりイラストを描くなら、二体のロボットによる印象的なラストシーンははずせませんよね。

人間の女性「マリー」を愛するあまり暴走してしまった、コロニーの中枢コンピューター「ライオネックス」と、主人公が作った相棒ロボット「キャリー」


おさかな
ライオネックスの合成音声、「マリイイー」がまた哀れで怖い声なんです

ライオネックスは、マリーに「ただの機械で命を持たない鉄の塊だ」と言い放たれて絶望し、コロニーを自爆させての心中を試みます。

その一方で、コロニーから逃げるためのワープ転送装置の起動レバーが、転送区画の外にあると判明した時、キャリーは自ら「自分は命を持たないただの鉄の塊です」と、自分は残って起動レバーを倒し、主人公たち二人をワープ転送で脱出させ、自らは爆発するコロニー(とライオネックス)と運命を共にしたのでした。


ラストの演出の妙

この別れ際のキャリーの台詞「マタ ボクヲ ツクッテクダサイ」がもう、唐突に来て泣けるんですよね。

脱出はワープでなされたので、脱出後の二人は、遥か何光年も離れた別のコロニーでただ宇宙の深遠にキャリーを思うことしかできません。

この、爆発を見せないという演出がまた(たぶんファミコンなのでそんな豪華な演出はできなかったという事情説が濃厚ですが)、なんとまあ渋くてかっこよくて、余計な説明一切無しで痺れましたねえ。

よくよく思い返すと、途中で意味不明でシュールな「でっどぞぉん」とかいうクソゲーミニゲームがあったり、薬品でドアのパーツが溶けるとか種から一気に木が生えるとか、随分とヘンテコな脚本だったと思うんですが、最後の印象で一気に心を持っていかれちゃいました。

アドベンチャーゲームとしての難易度もかなり高かった(というか説明や情報がなさ過ぎ!・笑)のと、最後に一気に盛り上がってそのまま一気に終わる流れが、言葉にならない感動を演出してくれたのかもしれません。

だってあのラストシーン、あれを今どきのアニメや邦画だったら、ねちっこく10分くらいやりますよ絶対。 それが「デッドゾーン」では、テキスト送りのボタン6回押しで過ぎ去ってしまうんですから。

ワープ転送装置のレバーは外からしか使えない! ナンダッテー からのスピード感は異常です。 そこで唐突にお別れで「マタ ボクヲ ツクッテクダサイ」ですもん。

勝てるわけ無いですよ。。。

まあ、単純にファミコンではそう大した演出はできないので、カットカットしまくった結果でたまたまなのかもしれませんが。

おさかな
そういえば昔、伊集院光さんが、手塚治虫漫画の「陽だまりの樹」の上下巻を読んで「天才的に無駄を省いた省略の妙だ!」と感心してたら、後日「中巻」を発見した…なんていう話がありましたw

さて主人公の二人。雰囲気をなんとか出せるようパッケージ見つつ描いたんですが、当事のアニメっぽさを出すのは難しいですね。 それにしても、指だしグローブとか、長手袋とか、デザインがなんとも昭和感でこれまた最高です。

ナイスなイケメンカップルなので、この二人の掛け合いとかももっと見たかったなあ…。
 

シンプルながら強烈な思い出となった本作

今回は絵を描きながら、ラストについて語りたい気持ちが高まり過ぎてしまい、それメインになってしまいましたが、たまにはこんな絵日記もよいのでは無いでしょうか。

演出ゴージャスなゲームも勿論すばらしいですが、この「デッドゾーン」のように、ボイスアクトどころかBGMも無く、テキストもカタカナだけというギリギリの伝達手段で作られたゲームが私の心に残したインパクトは計り知れません。

情報が少ないぶん、イメージを自分で補間しなければならなかった故に、より感情移入できたんでしょう。 「ゲームであるだけで非日常を感じられた」あの当時だから受け入れられたんでしょうけども。

ぜひまた、ああいうゲームとの出会いをしたいものです。
 

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